「2040年 全ビジネスモデル消滅」を読んでみた。
牧野知弘さんの書籍「2040年 全ビジネスモデル消滅」(文春新書)を読んでみました。
2020年の東京五輪を境に日本国内であらゆる現状のビジネスモデルが転換期を迎える。
とりわけ2040年以降の日本国内の予測数値(人口、年齢構成など)を見る限り、
完全な二極化が想定される。
このことを前提にして、戦後日本で急速に成長してきた2企業、
日本マクドナルドと東京ディズニーランド(オリエンタルランド)のビジネスモデルを比較。
日本経済が長期デフレに陥る中で急速に衰退していった前者と
価格上昇を続け業績を伸ばし続ける後者との差はいったい何か?
そして、東京五輪が終わり、人口減・生産人口比率減・収入格差が顕著に現れる中で、
どこまで後者は夢の続きを見せ続けられるのか…
こんなことが書かれています。
私としてはこれをどう今向き合っているビジネスに活かしていくこうか考えてみました。
戦後日本において急成長を遂げた両社のビジネスモデルを分類すると、
①マクドナルド=量的充足
②ディズニーランド=質的充足
としています。
圧倒的に物が不足し人々がアメリカの食に憧れを抱いていた時代に①は登場し、
全国各地へ店舗拡大、供給することで成長を遂げました。
しかし、いつでもどこでも食べられるものと化し、競合他社との価格競争に巻き込まれ、
その他の問題も相まってブランド価値を落としていった①。
ブランドコンセプトを守り決して拡大戦略をとらず、
来訪者の満足度を上げ続けることに徹した②。
結果的には②の戦略が正しかったことは既に知られているところです。
では、これを今私が向き合っているビジネス、スポーツに置き換えて考えるとどうなるか?
新規顧客開拓のために顧客ニーズに合わせて自社の価値を変化させた①。
自社の価値を高めることで新たな顧客開拓を行った②。
目指すべきは②のはずですが、どうにも①を追ってしまう傾向があると感じています。
例えば、新潟(サッカー)でいうと無料招待券。
有料観戦経験のない層を見込み客とみなし、無料で来場させる。
会場での体験とサービスで魅了しその後の有料観戦者へと成長させるのが狙いです。
ところが、現状は無料券をばら撒かなければ観戦者数は減る一方で有料観戦者数も減っています。
ここ最近では無料券をもらっても観戦に行かないという人も増えており、
無料招待が顧客育成につながっていないとの見方ができます。
確かに無料招待されて観戦に興味を持ち、その後は有料で…という方もいるとは思いますが、
大多数は無料観戦者は無料でないと来場しないと見るべきでしょう。
来場させればドリンクやグッズなど購買の可能性があるとも考えられますが、
無料にすることで発生するブランド価値低下のリスクの方が大きいと思います。
(一時、無料招待を自粛していた新潟、社長交代で再開するようです)
本来、②を目指したいのはどのスポーツチームも一緒です。
高いお金を払ってでも見に行きたい、と思ってくれる人をどれだけ増やすか。
ところが実際は短期的に見かけの数値を追い求めるがゆえに値引き、無料招待という策に出てしまいます。
一時的に観客数が減ることに耐えられるか、
長期目線でのブランディングや顧客育成に取り組めるか…
これが意外に難しいんですよね。
客数が減れば既存客やスポンサーの心象に悪影響を及ぼします。
後者には特に気を使います。人目に触れる機会が減れば広告価値は減ると判断されますからね。
スポンサー金額が減ればチーム運営にも影響が出ます。
もともと無料集客をしていなければ直面せずともよかった課題ですね。
これをどう乗り越え、大きく集客手法を転換できるか。
もしくは今の手法でどう有料観客数を増やすか、ですね。
試行錯誤しながら、ひとまず②を目指し頑張ります。
2040年問題などはその先です(苦笑)